
TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる
Authors
Sönke Ahrens
Publication
日経BP
Publication Date
2021/10/14
Created
2023/1/10 1:16
Updated
2023/1/10 1:16
Citation
[^takenotes]: https://amzn.to/32lEeAy "TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる, Sönke Ahrens, 日経BP, 2021/10/14"
Slug
takenotes
Summary
How to Take Smart Notesの日本語訳。ニクラス・ルーマンがZettelkastenをどう利用していたかを軸に、Zettelkastenがなぜ必要でどう使われるべきかの概念が体系的にまとまっている。どんな目的でZettelkastenを使うべきかが分かるので、より効果的なZettelkastenを使えるようになる。
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Zettelkastenの特徴Zettelkastenが発想を促す理由Zettelkastenの特徴Zettelkastenの効果Zettelkastenは学習を楽にするものではない執筆のボトムアップ的アプローチ白紙からは何も生まれない計画を立てずボトムアップで育てる悩みを解決するシンプルなアイデアを大切にするアイデアを大きな流れに組み込む考えるとは、自分の文脈に組み込むことであるZettelkastenによる記憶のサポートZettelkastenがあれば重要なアイデアを思い出せる忘れづらいと忘れられるマルチタスクの誤謬アウトプット中心のやり方アウトプット・ドリブンフィードバックを得るアウトプットは最強の学習法Zettelkastenの構築法Zettelkastenにどのくらいノートを格納するのかZettelkastenに入れる情報と入れない情報Zettelkastenの構成Fleeting notesをどこに置くか?Literature notesはNotionに統合できるか?Zettelkastenの運用法ZettelkastenのワークフローまとめLiterature notesの書き方読書メモの最適化Permanent Notesの書き方Project Notesの書き方新しいノートに非リンクはいるのか?索引と構造ノートの違い
Zettelkastenの特徴
Zettelkastenが発想を促す理由
Zettelkastenがパワフルなのは既存の知識と新しい知識を結びつけるシステムである点である。
単なるメモの保存ではなく、関連するアイデアが混ぜ合わさって洞察を生む点が画期的なのである。まさに覚えるためのメモではなく、考えるためのメモである。
アイデアや洞察は既存の知識と新しい知識のつながりによって生まれる。これを外部化してシステム化した点がZettelkastenの核である。
これはシナプスとニューロンの働きのようでもあり「第二の脳」と呼べる理由でもある。
p.45
p.99
Zettelkastenの特徴
Zettelkastenのユニークな点は次の3つに集約されると考える。
- 「考えること」をシステム化した
- アウトプットを起点として学習を最適化した
- 文脈に注目して情報を整理することで記憶と理解を効果的にした
Zettelkastenの効果
意志の力ではなく、環境の力を使って自然と成果を上げる。優れたワークフロー、優れたシステムを持っていれば、苦しい努力をせずに結果を出せる。
アウトプットの対象を小分けにして1つずつ集中して取り組むことで、気持ちよく執筆を進められる。
p.27
Zettelkastenは学習を楽にするものではない
Zettelkastenは学習プロセスやアウトプットを楽にするものではない。むしろ苦労しなければならない。リソースをかけなければならない。ただし、本当にクリティカルなことに効果的に集中できるようになる。それは公表できるレベルを目指して自分の言葉で説明し直す(エラボレーション)プロセスである。これは本物の学習に時間を割けるようになることでもある。
p.142
執筆のボトムアップ的アプローチ
白紙からは何も生まれない
Zettelkastenは白紙神話のアンチテーゼでもある。本書は「白紙からは何も生まれない」と断言する。
同様に「まずテーマを決めて、それに沿ってものを書け」というのも陳腐なアドバイスである。テーマは書きながらしか見えてこない。
だからZettelkastenは毎日1つ1つなら集中して部品を積み重ねることを推奨する。小さな部品を準備しながら、やがて大きな絵が見えてくるのである。
p.89
計画を立てずボトムアップで育てる
白紙からは始めないといっても計画を立てて1つずつタスクをこなしていくやり方も否定している。
執筆は明確なゴールに向かう線形のプロセスではない。書きながらどこに向かうか徐々に見えて来るものである。
Zettelkastenは目の前の小さなアウトプットに集中しながら、自分でも予測しなかったような大きな成果を育んでいく、ボトムアップ的アプローチである。
p.113
単に書く内容を小分けにするのとは違う。メモのつながりが増えれば増えるほど、予測不可能なアウトプットに飛躍する可能性が上がる。
p.150
悩みを解決するシンプルなアイデアを大切にする
シンプルなアイデアが偉大な発明に貢献する例として「コンテナ物語」が引用されていたのが興味深かった。マルコム・マクリーンは渋滞に巻き込まれているとき、トラックの中身を船に詰め込んで運ぶアイデアを思いついた。それがコンテナの発明に繋がった。彼はただ渋滞に巻き込まれたくないだけだった。アウトプットは複雑なアイデアを組み立てる必要はない。シンプルなアイデア、それこそ見逃されるほど些細で簡潔なアイデアこそ役に立つ。だから、アウトプットのハードルを上げないこと
アイデアを大きな流れに組み込む
と同時に、シンプルで簡潔なアイデアを大きな流れの中に組み込むことの重要性も強調されている。大きな流れの中にアイデアを組み込むことで、実現可能な大きなアイデアに育つからである。これはZettelkastenの最も得意とするところでもある。
考えるとは、自分の文脈に組み込むことである
情報をインプットするとは、他人の文脈を理解することである。そして、考えることとは他人の文脈を自分の文脈に組み込むことである。
p.148
p.167
Zettelkastenによる記憶のサポート
Zettelkastenがあれば重要なアイデアを思い出せる
カテゴリベースではなく、コンテキストベースだから。つながりのある情報をもっていればいるほど、多くを覚えられるようになる。
忘れづらく、忘れたとしても思い出しやすいので、覚えることではなく考えることに集中できる。
p.37
p.77-78
p.100
忘れづらいと忘れられる
あとで必要な時に思い出せると言う確信があると脳内リソースを解放できる(ツァイガルニク効果)
p.117
マルチタスクの誤謬
マルチタスクをやりたがる人はマルチタスクが得意だと勘違いしやすい。実際にはパフォーマンスが低下していても比較しようがないので気が付かない。
Zettelkastenは1つ1つ集中してPermanent note化することを促進するので、このようなマルチタスクの誤謬に陥りづらくなる。
p.103
アウトプット中心のやり方
アウトプット・ドリブン
Zettelkastenはアウトプットを作成することをすべての作業の起点とする「アウトプット・ドリブン」。
アウトプットを起点とすることで、そのために必要な各種作業(読書したり、講義を受けたり、プレゼンしたりすること)の無駄を省き、効率化できる。アウトプットに関係のある作業を取捨選択できる。
つまり、「公表できるレベルの洞察」に向けてすべてのプロセスが合理化される。
p.71-72
p.77
フィードバックを得る
フィードバックは知識を深めるために必須である。Zettelkastenは公表できるレベルのアウトプットを促進する。しかも、最小単位のアウトプットを積み重ねるので、こまめにフィードバックを得られる(本の執筆のように数ヶ月や数年おきにフィードバックを得られる状況とはまったく異なる)。
であるから、それを実際に公表してフィードバックを得ることは、学びの好循環を作る上で効果的である。
p.96
アウトプットは最強の学習法
インプットを「公表できるレベル」を目指して自分の言葉で説明し直すことで、理解の質が大きく上がる。このプロセスは理解したフリができないからである。この繰り返しは学習において大きな効果が見込める。
p.140-141
Zettelkastenの構築法
Zettelkastenにどのくらいノートを格納するのか
Zettelkastenは何でもかんでも無差別にメモを追加できるシステムではない。むしろ、クリティカルな内容に絞ることで結果につながる。ここでの結果とは公表できるレベルのアウトプット。
p.78-79
週休1日で毎日1ページ執筆したら、1年で博士論文が出来上がるペース。
p.149
1日3枚メモがとれれば十分。
p.151
Zettelkastenに入れる情報と入れない情報
Zettelkastenには単なる情報のコピー(論文自体やWebサイトのキャプチャなど)を入れる必要はまったくない。情報のコピーは知識になり得ないからである。
その上で、Zettelkastenに入れるかどうか悩む情報として次の2つがある。
- マニュアル的な情報(ツールの使い方など)はZettelkastenに入れなくてよいのか?
- 細かなハウツーやマニュアルっぽい情報などは見当たらない
- Zettelkasten自体に関する概念は少量だがルーマンのZettelkastenにある
- ベルリンぐらし的な情報はどうするのか?
- 同上と思われる
Zettelkastenの構成
- 走り書き
- 文献メモ
- 永久保存版メモ
これに加えて各プロジェクト専用の情報を格納したProject notesを使う。
p.54
p.81
Fleeting notesをどこに置くか?
- Notionに走り書き用のデータベースを作っておく
- Notionで思いついたときにすぐ書けるか不安があるので、様子見しながらツール選定する
- 場合によってはAppleのメモアプリなど機動力に特化したアプリを使った方がよいかもしれない
Literature notesはNotionに統合できるか?
- 現在は本が多いが、本だけでなくWeb記事や論文なども入ると良さそう
- Instapaperと連携しても良いかもしれない
Zettelkastenの運用法
Zettelkastenのワークフローまとめ
Zettelkastenの基本的なワークフローは次のようになる
- 参考文献はLiterature Notes に登録した上でメモを書きこむ
- 1日か2日以内にそれらをZettelkastenに移動するか捨てる。Zettelkastenに移動する場合はそのタイミングでPermanent Noteに変換する
- メモが理解できなかったり平凡に思えたりしたら放置しすぎたサイン
- すべてのメモをPermanent notesにしようとしないこと。負荷が高まりすぎるか、メモを取らなくなる。
p.54
p.79
p.83
Literature notesの書き方
文献管理システムはメインのZettelkastenとは分かれた箱で管理する。文献ノートには表に文献の内容を書き、裏には読んだ内容を集める。その際、ルーマはページ番号も記入していた。
文献ノートは読み返してPermanent noteに変換した上でZettelkastenに保存する。
p.84
読書メモの最適化
Zettelkastenはアウトプット・ドリブンなので既存のメモとの繋がるかどうか、アウトプットに必要かどうかを基準としてメモを取るかどうか判断できるので、必要な分だけ読書メモを取るようになる。
これによって必要なメモを取り忘れると言うことがなくなると同時に、メモを取るのが面倒でなくなる。メモが必要最小限で済むからである。
あとで役立つかもしれないと何でもかんでもメモしようとして、大きな負荷になるような事態を避けられるのは大きい。
p.128
Permanent Notesの書き方
Permanent notesはその名の通り永久保存用のメモ。公表できるレベルのノート。必ず自分の言葉で書き直す。メモを取ったときの状況や文脈をすっかり忘れてしまっても完全に思い出せるものにする。
p.83
Project Notesの書き方
特定のProjectを進めるために、Projectごとにフォルダ分けされた専用の箱。Project Noteにはアウトラインや原稿に加えて、タスクリストやリマインダーなどが含まれる。
p.86